\#「クベルの首枷病」
\#病に倒れる者の首筋に蛇のような痣が浮かぶことから
\#伝承に登場する魔蛇を操る神「クベル」の名を持つ、
\#世界各地で発生している、原因不明の奇病。

\#病に冒されるとまず急速な衰弱状態に陥り、
\#半身不随となった後に内臓の機能低下が進み、死に至る。

\#その際、病の進行を表すかのように首筋の蛇の身が
\#徐々に喉元へと伸びて行き────

\#死に至る頃には、まるで蛇に首を絞められ命を落としたかのように
\#「黒い首枷」が死者の首に残る────

\#「首枷病」の名の所以は此処にある。

【セロ】
動けなくなって内臓をやられて最後には首絞め...
ほんと蛇にじわじわと絡め捕られていくみたいだね...
【マジェタノ】
首枷病で最も恐ろしいとされる点は
治癒術や薬療法での治療が行えないってとこ。
【セロ】
げぇ...
完全に死病じゃないか、それ。
【マジェタノ】
30年前の当時はね。
今はもう、ちゃんと解決方法も確立してるわ。
【セロ】
結局治療は出来たんだ?
【マジェタノ】
「治療」って言い方が正しいかはちょっと怪しいところね。
【セロ】
?
【マジェタノ】
首枷病は病ではなく「呪い」だったの。
正確には「解呪」方法っていうべきかしら?
【セロ】
呪い...
なるほど、治癒術や薬療法も効かない訳だね。
【マジェタノ】
...で!
【マジェタノ】
この話で一番笑えるのはその解呪方法なの!
あんた聞きたい?聞きたいわよね?
【セロ】
いや、死病を笑い話にするのもどうかと思うけど...
というかマジェ、なんでそんなに楽しそうなのさ?
【冒険者風の男】
おい、邪魔だガキ。
橋の真ん中で突っ立ってんじゃねぇよ。
【セロ】
あ...
す、すみません...!
【太った冒険者】
おデートに浮かれるのは結構だがよ。
周りの迷惑を考えてもらいたいもんだな、まったくよ。
【冒険者風の男】
おら、分かったんならとっとと道開けろ。
俺たちは急いでんだよ!
【セロ】
あだ...っ!
【マジェタノ】
...ちょっと!
【マジェタノ】
橋の上で立ち止まってた事は悪かったけども。
なにも蹴ることはないでしょ!
【セロ】
ちょ、ちょっとマジェ!
いいってば...!
【マジェタノ】
あんたは黙ってて!
【冒険者風の男】
そいつが蹴って欲しそうにトロトロしてっからだろーよ。
【マジェタノ】
トロトロしてるのがいつも通りなのよ!
そんな事より、セロに謝りなさい!
【太った冒険者】
さらっとひでぇ事言ってんな、この女...
【冒険者風の男】
なんで迷惑かけられてる俺らが謝るんだよ!
面倒くせえ事言ってるとお前も蹴るぞ?アァ?
【マジェタノ】
上等よ。
ケンカを売る相手を間違えた事、後悔させてあげるわ。
【マジェタノ】
あんたが謝りたくなるまで、徹底的に燃やして───
【セロ】
す、すみませんでした!
これからは気をつけますので!
【セロ】
ほら、行こ!マジェ!
【マジェタノ】
ちょ、ちょっと!
まだ話終わってない!!
【太った冒険者】
なんだったんだ、ありゃ...